2010年を振り返って
今年も本日で最後となりました。年末恒例になった、今年の振り返りをしてみようと思います。
プロセッサ関連から取り上げてみると、intelはNehalem世代で32nmプロセスとなるClarkdale/ArrandaleのCore iシリーズを発表しました。統合グラフィックス部分は45nmのままですが、ノートの世界にも広くNehalemが行き渡る年でもありました。一応ノート向けにはClarksfieldという4コアのCore i7シリーズがあったのですが、一部のハイエンドノートやモバイルワークステーションの採用にとどまっており、Arrandaleから本格普及となりました。デスクトップ向けでは初の6コアとなるCore i7-980Xが投入され、ハイエンドは完全にintelの独壇場となっています。
またNetbook向けAtomもPine Trailが広く採用され、こちらも世代交代が一気に進みました。Netbookは通常のノートの価格下落もあり、一頃ほどあった人気は落ち着きましたが、主に2台目ノートの選択肢として大分定着した感があります。サーバ向けではNehalem-EXとなるXeon 7500シリーズや、6コアでWestmere-EPのXeon 5600シリーズも投入され、上から下までNehalemが浸透した年でした。
対するAMDはPhenom II X6という安価な6コアプロセッサを投入するものの、価格面以外の明確な差別化要因を打ち出せぬままでした。Opteronも12コアのMagny-Coursや8コアのLisbonを投入しますが、率直に言って全般的にはあまり冴えない感じでした。
グラフィックス関連だとNVIDIAが難産の末、新アーキテクチャFermiとなるGeForce GTX 480を登場させました。年末にはエンハンスとなるGeForce GTX 580を登場させAMDに攻勢をかけました。そのAMDはRadeon HD 5000シリーズで昨年の勢いを保ちつつ、後半にはRadeon 6800/6900シリーズを登場させました。Radeon HD 6950に関してはここにきて6970化できたという話も出てきています。今年を通してみれば、NVIDIAとAMDは熾烈な争いを繰り広げていました。
チップセットに関してはintelは5シリーズが広く浸透したほかは、これといった大きな動きはありませんでした。チップセットはシステムの中で最重要コンポーネントのひとつであり続けるものの、もうこれまでほど目立つ時代ではなくなっているのかもしれません。
PC業界全般で見てみると、今年は昨年よりも多少景気が回復してきたこともあり、PCの売れ行きも昨年よりは好調なようです。しかし平均単価の下落は続いており、体力勝負が続いています。しかしiPadに代表されるようなタブレットの新たな動きもあり、このあたりはなかなか面白そうなものが各社から出てきそうです。
ソフトウェア関連で見ると、今年はWindows 7普及の年でもありました。10月には発売1周年を迎え、Microsoftによると9月の段階でコンシューマ向けPCの93%がWindows 7であるようです。企業においても移行が始まっているところが増えており、職場でWindows 7の端末が広く使われる日は遠くないかもしれません。
そのほか、ストレージ関連ではついに3TBのHDDが登場しました。3TB以上の全領域をすべて1パーティションで使おうとするとGPT(GUID Partition Table)で設定する必要があり、またその領域から起動するにはWindows Vista/7なら64bit版であり、かつマザーボードがUEFI起動に対応している必要があります。このUEFI云々についてはちょっと説明が必要なのですが、年明けあたりに「UEFI対応BIOSって?」というコラムを書いてみようと思います。UEFIのシステムは案外身近だったりするんですね。
全体的に総括すると、プロセッサはintelの独壇場、GPUはNVIDIA対AMDの押しも押されぬせめぎ合い、Windowsは7普及進むといったところでしょうか。
2011年は年明け早々intelはSandy Bridgeとなる第二世代のCore iシリーズを投入します。引き続きNehalemで残るLGA1366プラットフォームにはQ1/2011にCore i7-990Xを投入します。対するAMDはZacateやLlanoといったFusionや、新アーキテクチャBulldozerで反撃に出ます。
グラフィックス関連はNVIDIAがGeForce 500シリーズの派生品をいろいろと投入し、AMDもRadeon HD 6000シリーズの派生品を投入します。NVIDIAについてはFermi後継のKeplerが年内登場と言われています。
本年の更新はこれにて終わりです。1年間ご愛読ありがとうございました。次回更新は正月三が日が明けた2011年1月4日を予定しております。今後もより一層の記事充実に努めてまいりますので、2011年も引き続き、当Weblogをご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。
それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。
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